内部反射について

「EMC簡易シールドルーム」に使用されているMGネットは、1枚で20数dB、2枚で35~45dB、3枚で43~57dB、4枚で50~63dBとシールド性能が向上します。
他社のシールドルームで使用されている素材(亜鉛メッキ鋼板や金属フルム等)は100~120dBとシールド性能は高いのですが反射率も極めて高くなります。
以下の理由によりMGネットは反射や共振の影響を小さくでき、吸収体を用いなくても再反射や再帰波の影響を大幅に抑制できます。

20dBの素材と100dBの素材の反射率の差

20dBの素材と100dBの素材では、反射率において約1億倍の差が生じます(※透過率ベース)

項 目 20dB素材 100dB素材
電界透過率 約10% 約0.001%%
電力透過率 約1% 約0.00000001%
遮蔽性能※参考  約10分の1 約10億分の1

複層素材と単層素材の反射率の差

MGネットはメッシュ構造であるため、重ねるごとに透過・反射・吸収が繰り返され、複合的なシールド効果が得られます。1枚目で透過した電磁波が2枚目で反射・透過を繰り返し、同様の現象が3枚目・4枚目でも起こることで、全体として高いシールド性能を実現します。

そのため、同じ60dBのシールド性能であっても、通常の単層金属素材とMGネット4層では、反射波の特性が大きく異なります。
以下は100dB以上の性能を持つ銅板とMGネット4重(約60dB)との反射率の違いです。

材料 透過率 吸収率 反射率(概算)
金属板(銅板) 0.0001% ~0.001% 約99.9989%(ほぼ全て反射)
MGネット4層 0.0001% ~10% 約90%(一部は吸収)

このように、通常使用されている金属板とMGネットを比較すると、反射波の量は桁違いに少なくなります。
反射波の影響(干渉、誤動作、再放射など)を抑える必要がある環境では、MGネットが有効です。

反射波(再帰波)が問題となる代表的なケース
  • 1.高感度な電子機器(医療機器・計測器など)
    ・反射された波が再びセンサーなどに到達し、誤動作を起こす原因になります。
  • 2.EMC試験中
    ・電波暗室やシールドルーム内で反射された波が測定結果を狂わせることがあります。
  • 3.RF通信機器(無線LAN・BLEなど)
    ・反射波によってマルチパス干渉が発生し、通信品質が低下することがあります
  • 4.無線通信のマルチパス干渉
    ・反射波が直接波と干渉し、通信速度の低下・パケットロス・通信断の原因に。
    例:工場内の自動搬送ロボットがWi-Fi経由で制御されている場合など。
  • 5.レーダーや距離測定装置での誤認識
    ・反射波が「遅れて」戻ってくることで、距離や方向を誤って検出することがある。
    例:自動運転車のレーダーが金属製の壁面で誤反射を起こすケース。
  • 6.セキュリティ機器(監視・検知センサー)への影響
    ・赤外線センサーやRFIDなどが反射波で誤動作。人がいないのに検知してしまうことも。
  • 7.電波暗室や測定室での精度劣化
    ・試験対象以外の構造物や配線が反射源となり、測定値に数dB〜十数dBの誤差が生じる。
  • 8.医療現場でのノイズ・干渉リスク
    ・反射波が原因で医療機器(心電計、脳波計、MRI室周辺など)にノイズが混入し、生体信号が正しく記録できない、あるいは誤判断に繋がるリスクがある。

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