内部反射について

「EMCスクリーン」は45dB前後(99.83%前後の遮蔽・反射率)のシールド性能を持った素材です。
通常の亜鉛メッキ鋼板や金属フルム等のシールド素材は100~120dB(99.9999~99.99999%の遮蔽)とシールド性能は高いのですが反射率も極めて高く(ほぼ完全反射)なります。
以下の理由によりEMCスクリーンは通常のシールド素材より反射や共振の影響を小さくでき、吸収体を用いなくても再反射や再帰波の影響を大幅に抑制できます。

45dBと100dBの素材の反射率の差

45dBと100dBの素材では、反射率において約560万倍の差が生じます

項 目 45dB素材 100dB素材
電界透過率 約0.1778% 0.00001%
電界反射率 約99.9944% 約99.999999999%
ほぼ完全反射

このように、通常使用されている金属板とEMCスクリーンを比較すると、反射波の量は桁違いに少なくなります。
反射波の影響(干渉、誤動作、再放射など)を抑える必要がある環境では、EMCスクリーンが有効です。

EMCスクリーン

反射波(再帰波)が問題となる代表的なケース
  • 1.高感度な電子機器(医療機器・計測器など)
    ・反射された波が再びセンサーなどに到達し、誤動作を起こす原因になります。
  • 2.EMC試験中
    ・電波暗室やシールドルーム内で反射された波が測定結果を狂わせることがあります。
  • 3.RF通信機器(無線LAN・BLEなど)
    ・反射波によってマルチパス干渉が発生し、通信品質が低下することがあります
  • 4.無線通信のマルチパス干渉
    ・反射波が直接波と干渉し、通信速度の低下・パケットロス・通信断の原因に。
    例:工場内の自動搬送ロボットがWi-Fi経由で制御されている場合など。
  • 5.レーダーや距離測定装置での誤認識
    ・反射波が「遅れて」戻ってくることで、距離や方向を誤って検出することがある。
    例:自動運転車のレーダーが金属製の壁面で誤反射を起こすケース。
  • 6.セキュリティ機器(監視・検知センサー)への影響
    ・赤外線センサーやRFIDなどが反射波で誤動作。人がいないのに検知してしまうことも。
  • 7.電波暗室や測定室での精度劣化
    ・試験対象以外の構造物や配線が反射源となり、測定値に数dB〜十数dBの誤差が生じる。
  • 8.医療現場でのノイズ・干渉リスク
    ・反射波が原因で医療機器(心電計、脳波計、MRI室周辺など)にノイズが混入し、生体信号が正しく記録できない、あるいは誤判断に繋がるリスクがある。

使用例はこちら